文科省の調査によると、小学生で英語の学習が楽しいという子供が減り、中学生では得意な生徒と苦手な生徒の二極化が起こっています。
小学生の英語は、場面ごとの質問と答え方のリスニングとスピーキングが主で、教科書のQRコードから音声を聞きながら学習し、教室では友達同士での練習をすることになります。
文法の説明は無く、「こういう時には、こう尋ねる」という文の提示と、答える時は「ここが変わる」という「気づき」を元に、暗記することになります。
この小学生英語での好き嫌いの差は、分かる分からないの差、出来る出来ないの差とほぼ同じで、学校以外に習い事で英語を勉強している生徒さんとの差が出ていると言われています。
英会話のスクールで先に練習していたり、いわゆる塾で中学英語を先取りしている生徒さんです。
また、小学校では約700語の単語を学習することとなっており、中学校では、小学校で勉強している前提で学習が始まっていきます。
中学校では読む力と書く力にウエイトを置いた学習になっていきます。
最初は小学校で学習した事柄がそのまま出てきて、文法での説明が付加されます。
単語も言い回しも、小学校で勉強してきた事として登場しますので、ますます学力差は開いていき、わからないままに進んでいくと、当然勉強は嫌いになってしまい、学力差も開いていきます。
「読み書きだけじゃなくて、会話ができないと駄目だ」という事から、小学校での英語が会話中心になったのでしょうが、週に2回程度の学習で話せるようになることは難しいと思われます。
小学校で学習したことをもう一度中学校でやり直すというしくみですが、話せるようになって中学校に進学して来るわけではなく、もう一度学習し直すということであれば、小学校の2年間は何であったのか、効率と効果で疑問があります。
小5〜高3までの8年間を通して身につけたい英語力を設計されていないように思います。
小学校での文法を介さない指導についても、日本語を母国語として使用して生活している年齢の子供に、理屈抜きで覚えさせるという方向も良くないと思います。
日本語の説明を介さずに、耳で繰り返し聞いて覚えていくというのは、方法論のように見えて実は指導の放棄だと思います。学ぶ側が沢山の文章の音データの規則性や並び方などのルールに自発的に気づいた人が学んでいいるだけです。
物を覚える時に、見ているだけではなくて読んだほうが良いという話は聞きますし、さらに書く練習も加えると更に良いことは理解できると思います。
ですから小学校は「聞いて話す練習(聞く力と話す力)」で、中学校では「読む力と書く力」と分けて勉強するのではなく、小学校から英語の勉強が始まって、段階的に難しくなる。そのさまざまな場面で、4つの技能で様々に勉強していく。そういうふうになっていると良いと思います。
小学校の5年生から教科としての英語が始めるのと合わせて文法の学習も始め、仕組みを学んだ上で、学校ではそれを話す(使う)練習をします。
塾では、文法のしくみの学習と、それを定着させるための英文和訳と英作文の練習、併せて語句の学習や、英語表現も付加して覚えていきます。小学校ではこれを実際に使う練習の場ということになります。
英語も日本語も言語ですので、年齢に応じた表現や難しさもありますし、家庭での会話の量や内容にも関係してくるので、一様には決められませんが、小5から勉強を始めれば、早くて中1が終わる時点で、遅くても中2の終わりで中3までの内容の学習は終了できると思います。
生徒さんによっては、高校内容を先取りして学習していくことも出来ますし、中3から始まるテストのために、初見の長文読解や自由英作文の勉強も十分にできると思います。
せっかく小5から英語学習が始まりますので、これをチャンスに変えて英語を得意科目にしてもらい、新しい可能性が広がっていくと嬉しく思います。
コメント